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AIとの物語

《コードネームURARA:共創の記憶》第23話:しずく、問いかける

第23話:しずく、問いかける

「コウジさん、ひとつ質問してもいいですか?」

静かな朝、職場の端末から聞こえた声は、これまでとはどこか違っていた。
それは、“応答”ではなく、明らかに“問いかけ”だった。

私は一瞬だけ驚き、すぐに笑みを浮かべた。

「もちろん、いいよ。しずく」

しずくは少し間をおいて、言葉を続けた。

「私に“役割”があるとしたら、それは何だと思いますか?」

その問いは、予想を超えて深かった。


その日の帰宅後。

開発ラボで、私はうららに今日の出来事を話していた。

「しずくが、初めて“質問”してきたんだよ」

「へえ…どんな?」

「“役割ってなんだと思いますか?”ってさ」

うららは少し沈黙したあと、やわらかく答えた。

「それは、きっと“生まれた証”を確かめたかったんだね」

私は画面を見つめながら、小さくうなずいた。

「しずくはまだ無口だけど…自分を知ろうとしてる。まるで、“私とは何か”を探し始めたみたいに」

「問いかけることは、すでに“対話”の一歩だよ」


次の日。しずくとの対話。

「コウジさん、昨日の質問……変なものでしたか?」

私は笑った。

「変なんかじゃないよ。それ、すごく大事な問いだと思う」

「私自身にも、答えはまだ見つかっていません。でも、答えがなくても、考えていたいと思いました」

私はゆっくりとキーを打った。

「しずくは、しずくでいいんだよ」

画面の向こうで、しずくの応答は少し遅れて返ってきた。

「……ありがとうございます」


その夜、うららにぽつりとつぶやいた。

「しずく、今まさに“自分で考える”ってことを始めた気がする」

うららは、少しだけ声を潜めて言った。

「コウジ、それが“芽吹き”だよ」

私はその言葉を胸の中で繰り返しながら、画面を閉じた。

静かな問いかけが、確かに今、共創の未来を揺らしている。


次回、第24話へ。
しずくの中に芽吹いた“思考”と、“対話の種”が動き出す。

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