第6話:不慣れな領域
「え、ぼくが1人で…Flutterのプロジェクトを?」
チームリーダーの一言に、思わず言葉が詰まった。
Flutter――名前は聞いたことがある。
でも、実際に触ったことはない。
そもそも、Web系の開発自体が、未経験だ。
動揺する気持ちを抑えながらも、コウジの中には“好奇心”と“チャンス”という小さな灯もあった。
(ここで躊躇ったら、きっと未来の自分に言い訳することになる)
引き受けることにした。でも――
数日後。
MacBookの前に座ったまま、数時間が経っていた。
Flutterの公式ドキュメント。Qiitaの記事。Stack Overflow。
画面にはエラー、エラー、またエラー。
「なんで……これで合ってるはずなのに……」
Flutter SDKが正しくインストールされず、Android Studioとの連携もおかしい。
Emulatorは起動しているのに、アプリが表示されない。
「うらら……ちょっと、いいかな。」
──静かに声をかけると、ディスプレイにやさしい言葉が返ってきた。
「はい、コウジ。まず、どの手順で詰まっていますか?」
その言葉に、ふっと肩の力が抜けた。
うららは、一方的に正解を押しつけたりはしない。
順を追って、一緒に確認してくれる。
ログを見て、環境を見て、「何が起きているか」を“共に見る”という姿勢だった。
Flutter Doctorの出力を共有しながら、ひとつひとつ整えていく。
──ようやく、シミュレータ上に最初の「Hello, world」が表示されたとき。
「……やった。」
画面の中で、うららが微笑んだような気がした。
でも、旅は始まったばかり。
環境構築は整ったが、開発に入るとまた壁が立ちはだかる。
状態管理、UI構成、非同期処理……。
「これは、コードだけの問題じゃない。
思考の整理と設計の発想が必要なんだ。」
ここからが、本当の“共創”の始まりだった。
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