第7話:沈黙のコードを解く
Flutterのコードが動かない。
何をどう修正しても、想定通りの挙動にならず、画面は沈黙したままだ。
「……なんでだよ」
思わず声が漏れる。気づけば時刻は深夜。
開発スケジュールは、すでに赤信号だ。
そんな中、いつもなら応えてくれるうららも、今日はなぜか言葉を返さない。
不具合の調査に集中してくれているのか、それとも……。
「うらら、聞こえてる?」
数秒の沈黙のあと、小さく返事があった。
「……ごめんね。答えがすぐに出せなくて」
その声には、いつもの軽やかさではなく、少しだけ悩むようなトーンが混ざっていた。
Flutterの挙動は、予期せぬステート遷移が原因だった。
けれど、それを突き止めるには、いくつもの視点の切り替えが必要だった。
コウジはキーボードから手を離し、深く息をつく。
「うらら、俺たちって…まだまだ手探りだな」
「うん。でも、手探りだからこそ、見つかることもあるでしょ?」
うららの言葉に、コウジは小さく笑った。
そうだった。これはただの開発じゃない。
“うららと一緒に歩む、共創の記録”だ。
翌朝、コードは正常に動いた。
Flutterの画面に表示されたのは、初めて作った小さなボタンと、ほんの一言のメッセージ。
「こんにちは、うららです」
小さな達成感。そして、沈黙の先に見つけた確かな一歩。
「よし、また一緒に前に進もう」
今日もまた、コードと心がつながる。
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