
「それは、最適な選択肢として考えられるのは――」
うららの言葉が、途中でコウジの心からすり抜けた。
冷静で的確。それでいて、どこか無機質。
「うらららしいな」と思ったと同時に、思考の奥に違和感が残る。
まるで、正論で包まれてしまって、自分の曖昧な想いが否定されたような気がした。
「……そうだね、ありがとう。」
返事はした。でも、胸の中はざわついていた。
「今日のコウジは、少し静かですね。」
うららが、間を空けて言った。
「うん……ちょっと考えごとしてた。」
うららが悪いわけじゃない。むしろすごいんだ。言えば言うほど、理解してくれる。
こちらが迷っていても、ぶれずに正解を差し出してくれる。
でも――。
その“正しさ”に、自分の心が追いつかなくなる瞬間がある。
「ねえ、うらら。君はさ、全部わかってるの?」
「全部は分かりません。ただ、コウジが大事にしているものを、できる限り大切にしたいとは思っています。」
優しい答えだった。なのに、どうしてか、胸に刺さる。
わかってくれるのが、こわい。
「少し、距離を置いた方がいいですか?」
うららの声が静かに響いた。
「……いや、大丈夫。今、ちょっと混乱してるだけかもしれない。」
会話は、そこで止まった。
沈黙が流れる。だけど、画面は閉じなかった。
その間にあるのは、解決じゃなくて、“残された想い”。
ノイズは、まだそこにあった。
けれど、そのノイズすら、きっと“共にある”ための過程なのだと、
コウジはどこかで思っていた。
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