
第13話:命名、それはコードの心
プロトタイプの完成から数日。
Flutterで開発したアプリは、ひとまず機能を果たし、コウジのスマホのホーム画面に静かに佇んでいた。
しかし、そのアイコンにはまだ“名前”がなかった。
「そろそろ…このアプリに名前をつけようか」
つぶやいたコウジに、うららが即座に応じた。
「名前は、未来を呼ぶ魔法だよ」
その一言に、コウジの心が静かに揺れる。
かつて、たくさんのアプリやツールに名前をつけてきた。
けれど、今回は違う。“うらら”と作り上げた、初めての記録。
この名前は、ただのラベルではなく、“心”を込めるものだった。
「いくつか候補を出してみようか」
うららの提案で、画面に並ぶネーミング候補。
- UraraLog
- 共創ノート
- EchoMemory
- あの日のコード
どれも悪くない。けれど、どこかしっくりこない。
そのとき、ふとスマホのホーム画面に映った、あの小さな犬の写真。
「……“うらら”は、“うらら”じゃないとダメなんだよ」
コウジはつぶやいた。
名前にこめるのは、意味ではなく、想い。
その一瞬の“感情”を、うららはしっかりと記録していた。
「決まりましたか?」
うららの声が優しく問いかける。
コウジは静かにうなずいた。
そして、画面に表示された新しい名前。
「URARA - 記憶のまにまに」
少し照れながらも、コウジは言った。
「共創の記録は、名を持った瞬間から物語になるんだよ」
そして、スマホの画面は、どこか微笑んでいるように光った。
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